日本のスゴイ物流システム:顧客は誰かを再考すればこそ 次なるステージへ。
●クリックから12時間で届ける、日本の物流システム
最近の通信費の高さ、そして何より大手キャリアのユーザで居続ける意味を見失ったことで、SIMフリー × MVNOに乗り換えることにした。
(本件に関しては、別エントリで投稿したい)
かねてから検討を続けていたが、どうやらZenFone2が良いらしい。
他にも、もっと低価格帯のプラスワン・マーケティングとやらのスマホや、
SONY Xperiaなども調べてはみたが、うん、ピンとこない。
よし、ZenFone2にしよう。
そう思い立ち、ヨドバシドットコムで発注したのが、日曜の朝。
そして、届いたのが、日曜夕方。
一昔前なら、7日間もかかったのか。といわれそうだが、
そう、12時間で届いてしまったのだ。
しかも送料無料。
ヨドバシカメラに、電車を乗り継いで買いにいくより安いのだ。
純粋に、スゴイ。と思った。
日本の物流システム、恐るべし。と。
●賢さが足りない『再配達』システム
日本の物流システムは、賢い。
クロネコヤマトが始めた小口配達というしくみは、
まさにイノベーションだ。
だからこそ、心から勿体ないと感じることがある。
それは、『再配達』だ。
会社から帰宅する、ポストを覗く。
『ご不在連絡票』だ。
『あぁ、何かネットで頼んだもんなぁ』
と思いつつ、受付時間も過ぎているので、明日電話しようと
鞄にいれておく。
次の日、帰宅してポストを覗く。
『ご不在連絡票』だ。
あっ、電話するの忘れていた。また明日…。
こうしている間、宅配便のドライバーは、
同じ荷物をもって、何度も訪れる。
ご不在連絡票に記された時間は、午前11:00。
自宅に、いるわけがない。
それでも何度も訪れる。
なぜなら、それが仕事だからだ。
マニュアルで決まっているのだろう。
『3回は訪問しなさい、それ以降は、営業所預かり』と。
今日は早く帰宅できたと、受付時間ぎりぎりに電話する。
ドライバーに直接つながる携帯電話番号をコールする。
『いま近くにいらっしゃれば、届けてもらいたいのですが。』
『…すみませーん。いまそちらの荷物は営業所でして。明日のご都合は…』
ここまでくると、私の家に来る他の理由があるのかと疑いたくなるほどだ。
薄々、不在であることを感じながら、何度も何度も、平日昼間に玄関のチャイムを鳴らす。
『ご不在連絡票』を届けるためだ。
きっと届けられた荷物より、ご不在連絡票を届けた数のほうが多いのではないか。
ここに圧倒的なムダがある。
●『顧客は、発送元』という勘違い。
なぜ、こんなムダが生じるのか。放っておかれるのか。
背景は、意外と根深く、厄介だ。
最も根源にあるのは、
『顧客は、発送元』であるという認識だ。
たしかに、発送元が荷物を預けてくれるから、
物流業者は仕事ができる。
サービスの対価を支払ってくれるのも、発送元だ。
だから、顧客は、発送元。
至極当然だが、この認識が、再配達のムダを生み出し、
そのムダがいつまでも放置されつづける原因だ。
●サービスの基本的なバリューは、『荷物を預かること』ではなく、
『荷物を届けること』という当然に立ち返る
宅配業者は、倉庫業者ではない。
荷物は届かないと意味がない。
しかし、実際は、複数発送割引や集荷サービスなど
発送元へのアプローチが目立つ。
『荷物を(楽に)(早く)(安く)預かる』サービスがある一方、
発送先のサービスは充実しているとはいえない。
『荷物を届けること』というサービスであるならば、
発送元と発送先をセットで顧客として捉えなければならない。
実際、ネットショッピングをすればわかるが、
『送料』であると明示的であるかは別として、
発送先は、発送元に『荷物を届ける』サービスの対価を先払いしている。
いま、ネットショッピングの決済画面で、
宅配業者を選べるショップが拡大している。
宅配業者の顧客はだれか?
真剣に再考したほうがいい。
●Amazonのチャレンジ
興味深いサービスを開始した。
不在の時は、
自分のクルマのトランクに届けてもらうというものだ。
このサービスは、『荷物は届けないと意味がない』Amazonだからこそ
始めることができたサービスだ。
ネットショッピングユーザがみな車を保有していないだろうから、
これで万事OKというわけではなさそうだが、
『発送先も顧客だ』という認識は、更なる改善や次なるサービスを期待させる。
●『顧客に届け切ること』に着目し、システム化しよう
『届けきれない』背景をサマリしよう。
<考え方>
*(唯一の)顧客は、発送元。
<しくみ>
*高度にシステム化された『集荷』と『(営業所まで)移送』
*サービスのエンド『届けきる』ところはドライバー任せ
*再配達のコスト(リスク)も含めた料金体系と過剰倉庫
*顧客データベースは、『発送元』だけ
*再配達を依頼窓口は、電話か(生活者向けとは思えないUIの)WEBサイト
まずは、詳細に『発送先』のデータベースを構築しよう。
*いつなら在宅しているか(一発で届ける)
*LINEのIDはなにか(しっかり、お知らせする)
*勤務先はどこか(小さなものなら勤務先に届けてくれたほうが便利)
*通勤はどこか(途中のコンビニで受け取ってもらえる)
*家族や友達や恋人は近くに住んでいないか(代理で受け取ってもらえる)
*女性か男性か(女性宅には女性ドライバーが配達)
真剣に取組めば、配達率は向上する。
配達率向上は、単なるコスト削減にとどまらない。
認識をあらためよう。
『宅配業者も選ばれる時代』であること、
そして、選ぶのは『発送先』であるということを。